【第1回】オーストラリア自転車旅:準備編

自転車でオーストラリアを走りたいんですが、どうすればいいですか?

実際にオーストラリアを走ってきた私がお教えしましょう!
なぜオーストラリアを自転車で旅しようと思ったのか
きっかけは小学生時代までさかのぼる。隣町まで自転車で行ったとき、自分の力だけで見慣れた風景の外に出られたことに、強い感動を覚えた。中学生になると、大阪から京都まで自転車で走った。移動が「手段」ではなく「目的」になり、自転車は“冒険の鍵”になっていった。
高校生のとき、オーストラリア・シドニーに1週間の短期留学を経験。もっとこの国のことを知りたいと思い、調べていたときに偶然出会ったのが、「自転車でオーストラリアを一周した人のブログ」だった。その400記事以上の記録を一晩で読み切り、心をわし掴みにされた。「絶対にいつか自分も走る」と決意し、その思いを胸に受験勉強を乗り越えた。

大学に入り、まずは国内で力をつけようとお遍路と北海道一周を達成。その後、外国を走る経験としてベトナム縦断を敢行。しかし、その直後にコロナ禍が到来し、海外渡航の夢は一時封印されてしまった。

そして社会人3年目。あの頃の夢を会社に正直に話し、夏季休暇とあわせて3週間の休暇を確保。いよいよ、心の中に8年間あたため続けた旅が動き出すことになった。
なぜオーストラリアなのか
広大な大地。地平線まで続く一本道。数百km走っても町がない。水も、食料も、宿泊地も、すべてが自分次第。だからこそ味わえる自由が、そこにはある。

そしてなにより、高校生のあの日「絶対にここを走る」と誓った、あの気持ちに応えたかった。
出発前の準備と情報整理
航空券の手配
今回は、エアトリで予約。料金は約23万5千円。2月に購入。以降どんどん値上がりしていたので航空券は早めに買うことをオススメする。選んだ航空会社はカンタス航空(フルキャリア)。スポーツバイクを運ぶ旅では、LCCよりもフルキャリア航空会社をおすすめする。
- 自転車はサイズ超過になりやすく、LCCだと追加料金が高額になる。※路線によってはLCCの方が安い場合もある。
- スルーバゲージ(乗り継ぎ便でも荷物を再預けしなくていい)対応があると、旅が格段にラクになる。そのおかげで帰りはシドニー観光を楽しむことができた
- カンタス航空はJALと同じワンワールド系で安心感あり
行き:伊丹→成田→メルボルン→アリススプリングス、帰り:アリス→シドニー→羽田→伊丹というルートを組んだ。JALのHPでJAL+カンタスの連携便を一括検索できなかったため、予約サイトで一番安かったのでエアトリを使った。航空券を探すときはもちろんスカイスキャナーで
ビザの取得
観光でのオーストラリア入国には電子渡航認証(ETA)が必要。アプリで簡単に取得でき、申請費用は20豪ドル。申請後すぐに許可が下りる。一週間ぐらい前にやればOKだろう。
アプリ「Australian ETA」を使えば簡単に申請できる。
- 申請料は20AUD(2025年現在)
- 申請後は即日で許可が下りることが多いが、念のため1週間前には済ませておこう
- 代理サイトや高額代行サービスには要注意。正規はアプリだけ!
海外保険
海外保険は「必要かどうか」ではなく、「備えておくべきもの」として捉えるのが正解。特にオーストラリアのような広大な国では、病院が近くにない場所を長距離移動することになる。万が一の事故や病気の際、治療費は日本とは比べ物にならないほど高額になることもある。毒ヘビ、毒クモ、毒サソリがいるかもしれないからネ
- 旅先で転倒や脱水、熱中症などのリスクがある
- 携行品の盗難・破損などにも保険が適用されることがある
- 高額な医療費をカバーできる安心感は、精神的な余裕にもつながる
今回はいつも利用している「たびほ」に加入。過去にはタイ帰国後に風邪をひいて病院にかかったが、診療明細をスマホで撮影・送信するだけでスムーズに返金された経験がある。
費用は3週間で約13,000円程度
スマホ完結型で手続きが簡単
リピーター割(マイページ割)があり、継続的に利用しやすい
通信手段
スマホはahamoをそのまま利用。海外ローミング14日間まで高速通信対応なので、eSIMやWi-Fi契約は不要だった。
- 15日目以降は速度制限(kbps以下)がかかるが、旅後半はフリーWi-Fiで対応
- 圏外になるエリアも多いため、スマホに頼らない行動計画が必要
- Googleマップは出発前にオフライン保存しておくと安心
※個人的には「スマホなんてなくても困らない」と思える旅だった。地図を見る?500km走っても1回しか曲がらないんだ。必要ない(笑)
WikiCampsAustraliaはオフラインでも使用できる。絶対に入れておくべきだ。

期間とルート
旅の期間は2024年8月10日〜9月1日の3週間。気候や休日の兼ね合いからこのタイミングを選択。
本当は縦断や一周をしたかったが、現実的なスケジュールと夢の折り合いをつけた結果、アリススプリングスからウルルへの往復(約1,400km)に決定。往路には未舗装路(メリーニーループ)を選び、150kmのダートも旅のスパイスとして組み込んだ。
高校生の頃からGoogleマップにはピンをいくつも刺している。水が補給できる場所。ロードハウスなどなど。



ウルル・アリススプリングスの気候を知る
オーストラリア中央部(ウルル・アリススプリングス)は、典型的な半乾燥気候。年間を通じて晴天が多く、降水量は非常に少ない。ただし、昼夜の寒暖差が激しいのが特徴で、特に冬(8月)の朝晩はかなり冷え込む。
- 8月の平均気温:日中 21℃前後/早朝・夜間 4℃前後
- 日差しは非常に強く、紫外線対策は必須
- 降水量は月10mm程度。基本的に雨の心配は不要だが、未舗装路は大雨後の通行に注意

夏と冬両方の装備が必要だ。
自転車旅視点での装備アドバイス:
- ウインドシェル+フリースまたは薄手ダウン(朝晩対策)
- 快適温度0℃程度の寝袋(キャンプなら必須)
- 紫外線対策:日焼け止め、アームカバー、サングラス(紫外線対策は必須。筆者は手の皮がめくれて、えらい目にあったゾ!)
- 水分補給は意識的に。汗がすぐ乾くので脱水に気づきにくい(気温の割に喉が渇く!)
- 薄手の手袋が朝の走行時にあると便利
寒さと紫外線の両方に備えた装備を意識すれば、8月は最も快適に旅ができる季節。準備の段階で、この気候を知っておくことが成功の鍵になる。
出発直前の気持ち
不安はなかった。忘れ物もない。高校時代から8年間ずっと思い描いていた場所へ、自分の脚で向かう日がついに来た。その事実だけで、胸が高鳴った。
次回装備編へ
コメント